村上ひとしの市政レポート



別れと旅立ち


 3月は進学や就職など家族や友人と別れ、旅立ちをする月です。新たな生活に向け、準備をされている方も多いと思います。その分、親の出費もかさみます。しかし、子供の人生の門出だから、出来るだけの事をしてあげたいのが親心です。ましてや親元を離れ、自立する若者を応援する社会ではないので尚更のことです。

 別れと旅立ちの時季、「北の国から」を思い出します。純がトラックに乗って富良野から東京に旅立つ場面です。父親の五郎がトラック運転手に運賃代として渡してあった泥のついた1万円札。運転手は、その泥のついた1万円札を「一生の宝物として取っておけ」といって純に渡し、純の瞳から涙が溢れ出ます。私はこの場面を見ると、自分の別れと旅立ちを思い出し、何度見ても涙が出てしまいます。

 当時、私は東京の大学に進学が決まり、砂川駅から東京へ旅立つことになりました。いつもと変わらない平常心でいたはずなのに、列車のドアーが閉まり、両親の顔を見ていると、この瞬間から生活のすべてが変わるという別れと旅立ちの決意、そして両親への感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、急に涙が溢れ出し、止まらなくなりました。

 涙で揺れる両親がはじめて小さく弱く見えた瞬間です。列車には空席がありましたが、千歳空港駅まで涙が止まらず、肩を揺らし、顔をくしゃくしゃにしながら、ずっと列車のデッキに立っていました。今思えば、いい経験をしたと思います。

 別れと旅立ちは若者を成長させます。生きる希望と喜びが持てる将来につながるからです。再び、若者たちを戦場へ送る別れと旅立ちだけは繰り返してはなりません。

 目次 


           


Copyright(C) Hitoshi Murakami All right reserved.